太刀に銘を切る理由

平安時代よりも前の刀工は、刀を天皇の管理の元で制作したと考えられています。武器としての刀ではなく、授かったものの地位を表すものでした。当然ながらその数も少なかったそうです。しかし武士が増えて刀の需要が増えてくると、日本刀を売買するようになりました。

多くの刀が出回るようになると、朝廷から下賜されたものと、流通して売買されているものを見分ける必要が出てきました。

合わせて、刀工がどれだけの刀を販売したかの把握の必要も出てきます。そのため、大宝律令の中で、刀に銘を切るように命じたそうでなのです。

今までの刀には銘を切ることがなく、そもそも『天皇から授かるもの』として作者すら公表されていませんでした。そのため、平安後期以前の刀工などは空白になっていることもあるそうです。刀剣界は、鎌倉時代を起点として時期が長かったと言えるでしょう。