Gears-日本刀の種類と部位-

日本刀の魅力の一つは刀身彫刻についてだと思います。刀身彫刻というのは、刀身に掘られた彫刻のことだそうです。刀身は刀の鍔(柄を握る手を防護する役割がある)の部分から、切っ先までを指します。樋と呼ばれる刀身に掘られる溝というのも刀身彫に含まれるそうです。重量を軽くするためだったり、強度を高めるという目的があったと言われています。それだけではなく、見た目の美しさにも考慮されているそうです。また、所持者や製作者の宗教観が表されているという説も考えられているそうです。江戸時代の後期には、復古思想(または復古神道、復古主義)の影響から、万葉和歌や漢籍に出典のある言葉が彫られたりしたそうです。

大日如来の化身と言われている不動明王が右手に持っている倶利伽羅剣をご存知だろうか?剣巻龍とも言われるこの剣は、貪瞋痴と終われる三毒を破る智恵の利剣と言われ、炎に包まれた倶利伽羅竜王が剣に巻き付いていることからこの名がついたという説があります。倶利伽羅竜王は不動明王の化身のひとつだとも言われ、その剣と炎によって、全ての罪や悪を滅ぼすと言われています。つまり、不動明王が悪を降伏させるという意味があるそうです。

倶利伽羅を語る上で外せないのが真行草です。この真行草というのは、書道の真書・行書・草書などでも有名ですが、実は事物すべてにおいて真行草三体が表現されているのです。真は現実的な表現、草は本来の形を簡略化した表現、行はその中ほどの表現を指すと言われています。刀身彫刻の中には、真行草を倶利伽羅によって表した剣が多いように思います。

次は不動明王についてお話しします。不動明王というのは、不動明王が羂索(ケンサク)と剣を手に岩上に立って滝に打たれる図や火炎の中にいる図というものが多いと言われています。刀剣類の所持者の守護を目的に彫られているという説があります。不動明王の化身と言われる素剣は、簡潔に彫り描かれることから、広く用いられ種類も豊富にあるそうです。

独鈷、三鈷柄剣というのは、密教具のひとつとされ、所持者の守護を目的に彫り表されるとも言われています。不動明王の化身の密教具としても知られ、その効果は煩悩を払う法具としても用いられていたのではないかと考えられています。

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