日本刀の美を語る

日本刀の「美」を語るなかで、そのフォルムを言葉にして語ることはなかなかムズカシイものでもあります。たとえば地鉄、刀文の美しさを述べられても現代を生きる多くの人びとは、なかなかそれらの美を理解することが困難であろうと思われます。しかし博物館や美術展などで日本刀の実物を目の前にしますと、その美しさや貴重さは、現代人であっても多くの人びとが感ずるところがあるのではないでしょうか。気の遠くなるような前の時代に武士たちが戦国の世を納めるために使用していた武器に、美しさを覚える日本人たちの美意識は、世界各国で生産されてきた多様な武器と比べてもその特異性は明らかでもあります。その美しさを語るには容易ではないけれど、その姿を一目みた人びとには通ずるものがあるというのはいかなるものなのでしょうか。